結論から言うと、全身麻酔下での歯垢・歯石除去は非常に重要です。
犬・猫も人間と同じように、歯垢や歯石が蓄積すると口腔内や顔面領域に様々なトラブルを引き起こします。
さらに、生活習慣病の様に全身の健康にも関わる問題を引き起こすことが分かってきています。
これらの問題を未然に防ぐために、ご自宅でのデンタルケア(歯磨き)と病院での定期的な歯垢・歯石除去(クリーニング)が重要です。
この記事では、犬・猫の歯垢・歯石除去の重要性と全身麻酔を使用する理由を詳しく説明します。

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監修者プロフィール:小原 健吾
趣味:サーフィン、SUP
歯垢・歯石の蓄積による問題
人と同様に、犬・猫でも口腔内細菌が歯の表面に付着し、歯垢を形成します。
歯垢はやがて石灰化し犬の場合は3-5日で歯石となり、歯ブラシでは取れなくなります。
● 歯垢・歯石の蓄積による問題
歯石中の細菌は死滅しているため歯石自体に病原性はありません。
歯の表面に歯石が少量つく程度であれば、付着していても問題にならない場合もあります。
問題になる時は、歯と歯肉の境界を覆うように歯石が付着している時です。
歯と歯肉の間には、もともと歯肉溝という僅かな溝があります。(図、左から1番目)
歯肉溝に歯垢が溜まると歯肉に炎症が起こり(歯肉炎)、溝が深くなって歯周ポケットが形成されます。(図、左から2番目)
歯周ポケットを塞ぐように歯石が付着すると、ポケット内が歯周病の好む環境に変わっていき、歯周病をさらに悪化します。(図、左から3,4番目)
歯垢・歯石除去に全身麻酔が必要な理由
歯周病などの治療として行う歯石除去は、全身麻酔下で行われます。
なぜ全身麻酔が必要か、ご説明します。
● 歯垢・歯石除去に全身麻酔が必要な理由
・歯周病の治療が可能
歯周病の治療には歯周ポケット内のクリーニングが必須となります。
全身麻酔下では、獣医師が犬の歯や歯肉をきちんとチェックでき、歯周ポケット内や歯の間隙の細かい部分まで歯石を取り除くことができます。
・動かない状態で治療が可能
歯周病の治療はデリケートな処置であり、犬が動いてしまうと危険を伴います。
全身麻酔を使うことで、動物は治療中に動くことなく、獣医師がしっかりと処置を行えます。
・痛みや不安の軽減が可能
歯周病の程度により、歯周ポケット内で炎症を起こしている歯肉をはがしたり、動揺している歯を抜く必要があります。
こうした処置には痛みを伴います。
治療中、動物は全身麻酔を受けているため不安を感じることはありませんし、鎮痛剤の投与や局所麻酔薬による神経ブロックで痛みを軽減できます。
全身麻酔をかけるにあたって必要な事
歯科検査・処置には全身麻酔が必要です。
安全に麻酔をかけられるかの検査をあらかじめ行います。
● 全身麻酔前に行う検査
健康診断と同じように血液検査、心電図検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、全身麻酔が可能かどうかを判断致します。
愛犬・愛猫の年齢・持病などを踏まえて、どの検査を行うかをご提案致します。
血液検査は外部の検査センターに依頼することもあり、その場合は結果がわかるまで数日~1週間かかります。
院内で行う血液検査、レントゲン検査、心電図検査、超音波検査の結果は当日わかります。
歯科検査・処置を行う2週間以内での実施をお勧め致します。
犬にとって、全身麻酔下での歯垢・歯石除去は非常に重要な治療です。
これにより、口腔内の健康が保たれ、歯周病や口臭の予防、さらには全身的な健康リスクを減らすことができます。
犬の歯の健康を守るためには、定期的なチェックと適切なタイミングでの歯石除去が大切です。

